独立 起業の限界

金融機関は、収益に比べ、多額の負債を抱える状態になっている。
金融システムが発達していなかった一九世自由市場主義を信奉し、三○年前にノーベル経済学賞を受賞したF・A・Hは、通貨制度と政府を切り離すことを求めた。 Hは次のように書いている。
「金貨などの立派な通貨を再び流通させる場合、それは政府が発行したものとはならない、と私は考える。 金貨などの立派な通貨は民間企業が発行するはずだ。
信頼に足る、そして流通する通貨を人々に供給するのはかなり儲かる事業だが、それだけではダメなのだ。 通貨の発行者には規律が課せられる。
政府はこの規律に従うことも、またそれを保つこともできない。 企業どうしの競争こそが、人々に素晴らしい通貨を供給できる。
通貨供給とはそういう事業なのだ」と。 続けて次のようにも書いている。
政府が通貨発行を独占していることに、歴史的に正当性は存在しない。 政府がほかの存紀の金融機関でさえ、収益の方が負債よりも多かった。
私たちがこれまで見てきたように、中央銀行による通貨供給量の増加によって景気循環が発生する。 経済の後退局面では、不健全な投資を行なった企業は、その規模が十分に大きければ、政府が通貨供給の独占を利用してそれらを救済するように求める。

そして実際に救済を受ける。 こうした制度が、他の制度が考慮に値しないほどに、「最高に工夫されたシステム」と言え在よりもより良い通貨を発行できるという保証はどこにもない。
貨幣発行の特権は、王の特権として登場したので、現在では、政府財政の根幹にかかわると主張されている。 政府が通貨を発行するのは、国民に良い通貨を供給するためではなく、政府が必要とする通貨を政府自身で作るためである。
読者のみなさん、政府による通貨発行という方法で、私たちは良い通貨を使うという希望を持つことはできないのである。 競争から守られていながら、絶え間ない政治圧力にさらされている機関に通貨発行を任せても、良い通貨が供給されることはないのである。
クレジットカード、デビットカード、小切手、紙幣など、私たちになじみ深い「道具」を廃止する必要はない。 それらを発行する機関を統制するルールを変えるだけでよいのだ。
ドルを支払いの手段とするのを国民に受け入れるように強制している紙幣の政府発行に関する諸々の法律の廃止が重要なステップとなる。 これらの法律は、自由市場に対する、独占的立場を利用した侵略行為である。
これらの法律と金と銀の販売とキャピタルゲインに課せられている高い税率によって、ドル紙幣の代わりとなる他のものを、通貨として自発的に導入するのが困難になっている。 政治的に操作されるドル紙幣などよりも、価値が保たれることが期待できるものを人々は導入する。
法律によって、人々が価値の下がった通貨を支払い手段として受け入れるオーストリア学派のアプローチは、その他の経済学派のアプローチよりも、経済で起きた事ように強制されていれば、通貨供給に競争原理を持ち込もうとする人々の努力は水泡に帰してしまう。 政府の発行する通貨が受け入れられるように強制されているのは、通貨となりうるその他のものは、意図的に不利な状況に置かれていると言える。
多くの経済学者たちが、現在の法定不換紙幣制度から、昔の財物本位制に戻るための様々な方法を提案している。 ここでは単純な方法を取り上げてみよう。
それは、通貨に市場原理を導入して自由化することである。 それによってアメリカ国民は利益を増進することができる機会を得る。
その機会とは、時間とともに価値を失い、保有者の意思に反する操作を行なわれてしまう通貨と、時間とともに価値を増やす通貨のどちらを使うか選択できる機会のことである。 多くの不便や困難があるにもかかわらず、現在、多くの民間企業で、取引の際に金で決済できるサービスを行なっている。

金がデビットカードのように、私たちに馴染み深い支払い手段として使われているのである。 インターネットの出現とコンピュータ技術の発達にともない、貴金属を通貨として使うことがより容易になっている。
これは幸運なことだ。 象を正しく説明することができる。
それによって、私たちの経済に対する理解は深まる。 自由社会と自由市場の守護者を自任している保守派やリバータリアンの人々は、今こそ、オーストリア学派の考え方を身につける必要がある。
保守派の人々の中には、地域再投資法のせいで金融危機が起きたと主張する人々がいる。 この考えは好ましくない。
地域再投資法は経済危機について、ある程度の役割を果たしたと言えるが、今回のような大規模な経済危機についてはもっと詳しい調査が必要である。 今回の経済危機の原因がシステム自体の問題であることが明らかになりつつある。
その中で、責任をすべて、民主党議員に押し付けるのは生産的、建設的ではない。 問題は通貨システムにあるのだ。
現在の通貨システムは民主、共和両党から支持されてきたが、今や崩壊しつつある。 また、経済活動という民間の活動に政府が介入していたことも問題であった。
政府はサププライムローンの貸出を促進したが、それ以上のことも行ない、私たちの経済的福利を脅かしている。 政府の経済への介入によって、これまでに起きた事象を説明することができる。

つまり、市場経済の支持者は、彼ら自身が自分の信条を本当に信じるかどうかを最終的に決めなければならない。 「政府の財政責任」を主張するような人々は、彼らが、政府が無から通貨を作り出すことに寛容である限り、誰からも相手にされなくなる。
連邦政府が中毒に陥っているとすると、中毒にしたのは連邦準備制度である。 自由市場を信奉するなら、連邦準備制度の存在など支持できない。
それは、連邦準備制度は市場に対する侵略的な介入を行なう存在だからだ。 自由市場を信奉するなら、経済の血液とも言える通貨の、中央計画による供給を支持することもできない。
自由市場を信奉するなら、金利の固定を含めた政府による価格の維持を支持できない。 自由市場の支持者には、これまで述べてきた理由から、何ごとも政府によって管理され供給されるべきだという主張を受け入れる自由市場を擁護する人々は正しい答えを持っている。
それは、ある分野が重要であればあるほど、その分野に政府が関わるのは悪いことだというものだ。 その重要な分野は、競争にさらされた自由な個人が関わるべきだ。
通貨は自由市場を構成する自発的な取引の中の方が、政府の強制の下よりも、より良く管理される。 通常、市場経済の支持者は、政府の介入を、経済を破壊するものと考える。

価格管理、増税、補助金などがその例である。 いくつかの政府によるプログラムと政府機関が、通貨と貸出がある特定の部門に回るように仕向けるのは、まさに、バブル(風船)に熱い空気を充填しようとするのと同じことだ。
この熱い空気を作っているのが、「連邦準備制度」だ。 自由市場に関しては、いくつかの伝統のある学派が存在する。
しかし、その中で、MやHが率いたオーストリア学派だけが、連邦準備制度が経済を破壊するという事実を強世界中で急速に信奉者を増やしている経済思想であるオーストリア学派だが、彼らは長い間無視されてきた。

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